あらゆる企業の経営においてIT化やDX化が広がってきている今、
導入の指揮を執るITコンサルタントのニーズが高まっています。
ITの専門知識やスキルを活かし、
企業の経営層や情報システム部門を支援するITコンサルタントの役割は、
近年ますます重要性を増しています。
そこで今回のコラムでは、ITコンサルタントの仕事内容や必要なスキル、平均年収、資格、転職に成功するポイントなどを詳しく解説します。
①ITコンサルタントの仕事内容
ITコンサルタントとは、ザックリ言うとシステム開発全般の幅広い知識を生かし、
ITを利用している顧客に対して課題解決のための提案を行う職種です。
顧客が抱えているITの課題に対して、
・しっかりとしたヒアリングと課題の掘り起こし
・問題点の分析
・解決策の提案から、解決にあたるチームの管理
と担当する業務内容は幅広く、とてもやりがいのある仕事といえます。
②ITコンサルタントの必須スキル
・課題を見つけ出すヒアリング力
クライアント企業が抱えているITにまつわる問題を聞き出し、
実現可能なレベルまで落とし込み解決策を提案します。
根本的な課題が潜在的に眠っていることも少なくないため、
高いヒアリング能力とビジネススキルが必要になります。
・論理的思考力と分析能力
ヒアリングした課題の分析をし、予算や企業規模を考慮し、今後のクライアント企業の展開なども視野に入れながら、必要な課題解決の提案を行います。
最新の技術情報から、クライアント企業がメインとして事業を行っている業界の情報まで分析を行う必要があるため、論理的思考力や深い業界知識、分析能力が必要になります
・マネジメント能力
提案した解決策を実行する場合には、コンサルタントひとりで解決するのではなく
実際にはITエンジニアの力を借りながらチームで解決することが多くなります。
その場合プロジェクトマネージャーとして、チーム管理業務を行う場合もあります。
そういったケースではチーム管理に必要なコミュニケーションスキルやチームをまとめ上げる
マネジメント能力が必要になります。
・IT分野への強い興味
近年は技術革新のスピードが加速し、今までにない技術やプロダクトが次々と登場しています。
ITコンサルタントとして活躍を続けるには、ITに関する新しい情報に興味関心を持ち、
最新の技術やトレンドをみずから積極的にキャッチアップする姿勢が必要不可欠です。
・精神力と体力
ITコンサルタントには、フィジカルとメンタルの両方の強さが求められます。
ハードワークに耐えられる体力と、常に成果を求められるプレッシャーに負けない精神力があってこそ、
クライアントの期待に応えることができます。
③ITコンサルタントの年収
システムエンジニアに対して業務範囲が広く、高度なコンサルティング能力を要求される分、
ITコンサルタントのほうが年収が高くなる傾向があります。
2017年の経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」によると、
システムエンジニアは基礎設計などを行う高度SEで平均778.2万円、通常のSEは568.5万円~603.9万円と、
250万円から300万円前後の違いが生じていますが、ITコンサルタントの年収は平均928.5万円になるようです。
④おすすめの資格
・PMP(ピーエムピー)(Project Management Professional)
アメリカ合衆国の非営利団体であるProject Management Institute (略称PMI)が主催する、
プロジェクトマネジメントの能力を証明する国際資格です。
4時間で200問の4者択一の選択式問題を回答し、合格には採点に関係しない25問のダミー問題を除く
175問中106問以上の正解が必要です。
合格率は60%前後ですが、厳しい受験資格があります。試験申込時から8年以内に一定以上の実務経験と
一定期間以上のプロジェクトマネジメント経験が求められるほか、合格後も3年毎にCCRと呼ばれる
研修の履行によって得られる単位を60ポイント以上取得する必要があります。
非常に実用性が高い資格であるため、ITコンサルタントとしてはおすすめの資格です。
・プロジェクトマネージャー試験
経済産業省が設定した情報処理者試験です。
試験制度のスキルレベル4相当であり、高度情報処理者試験でもあります。
システム開発を円滑に運営する責任者を対象にしており、
情報システムの開発、運用に際して、システムアナリストの策定したプランを実行して
プロジェクトを組織、指揮、監督し、品質やコスト、納期目標の達成のため、
プロジェクト全体を統率していく能力を認定します。
合格率は10%を切っており、非常に難しい資格ですが、
取得すれば経産省に認定されたプロジェクトマネジメント能力の証明となります
・中小企業診断士
経営に関する知識があれば、経営層と対峙する際や経営課題の
解決策を考える上でプラスになります。また中小企業支援法に基づく国家資格でもあり、
コンサルタントとしての数少ない公的資格です。
企業経営について幅広い知識やスキルが身につく中小企業診断士の資格は、
ITコンサルタントの仕事にも大いに役立ちます。
2018年の一次試験合格率は23.5%、二次試験合格率は18.8%で、
20,116人の一次試験受験者に対し取得者はわずか905人と難関試験ですが、
身につけることで、ITコンサルタントとしてより踏み込んだ提案と強い説得力を発揮することができます。
⑤転職に成功するポイント
・強みを簡潔に伝えられる
まず重要なポイントはスキルシートや職務経歴書が企業側から評価に値する見え方になっているのか
が重要です。実際に行ってきた業務が表現によっては評価されないことはよくあります。
また短い時間しか与えられない面接の中で企業側の評価に値する強みや経験を簡潔にアピールできないと、
ここでも損をしてしまいます。今までやってきた素晴らしい実績がアピール不足によるミスマッチだと思われないよう
しっかりとした対策が必要です。
・納得感のある転職理由
ITコンサルでなければならない理由、志望先のコンサルファームでなければならない理由、
また転職して成し遂げたいこと役に立てるポイントをしっかりアピールできるように入念に練っておきましょう。
転職のきっかけが前職でのネガティブ理由に偏りすぎることや、納得感の得られる転職動機なども
面接官に与える印象を変えてしまうので注意が必要です。
・転職エージェントで転職支援を受ける
転職エージェント所属のキャリアコンサルタントに相談することで、客観的な視点で職務経歴書の添削、
強みの整理や、面接対策をサポートしてもらえます。
コンサルタントは忙しい業務に追われていることが多いため、転職のプロにサポートしてもらうことが、
転職に成功する秘訣です。